2005年5月
外山先生エッセイ

よく聴き、よく学ぶ

 よその国のこどもと比べて日本のこどもの学力が低い、という調査結果が出て、大さわぎになりました。
 文部科学省は、始めたばかりの「ゆとり教育」を早々と「見直す」、つまり、とりやめにすると、言っています。
 「ゆとり教育」は、家庭でも賛成の多かったものですが、週五日で時間数を減らし、教える内容も少なくする、というのですから、学力が低下するのは、はじめからわかっていたはずです。国際比較の数字におどろくのはどうかしているといってよいでしょう。
 このごろのこどもの学力がふるわないのは、授業時間が減ったためばかりではありません。こどもの授業の受け方に問題があるのです。心を入れて勉強しないから、力がつかないということです。
 心を入れて授業を受けるというのは、ほかでもありません。先生の話を、よくよく聴くのです。いまの学校は、先生の言うことをロクに聴かない生徒に苦しんでいます。小学校、中学校だけではなく、大学ですら、教師の話をそっちのけにして、学生同士で私語します。うるさくて授業にならないという先生が少なくありません。
 ことに最近は、大人の言うことを聴かないで、かってなことを叫ぶこともがふえています。一説によると、育てるお母さんがそうだから、こどもはそれに染まって、聴く耳を持たなくなるのだというのですが、さてどうでしょうか。
 いくら授業時間がたくさんあっても、こどもが先生の話を馬耳東風と聴き流し、思い思いのことをしゃべっていたりしたのでは、授業になりません。学力などついたら、その方がおかしいくらいです。
 勉強は、本を読んだり、字を書いたりするだけではありません。先生、大人の言うことをよく聴くのが、たいへん大事です。いまは、それを忘れています。


(平成17年度版 小学ポピー「ポピーママ」「ほほえみお母さん」8月号より)

 
 先生は、大正12年11月3日愛知県でお生まれになり、昭和22年東京文理科大学英文科をご卒業になりました。東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授を歴任され、現在はお茶の水女子大学名誉教授、昭和女子大学特任教授、文学博士であられます。平成13年4月、勲三等旭日中綬章を受章なさいました。
 ご著書は、家庭教育に関するものだけでも、「子育ては言葉の教育から」(PHP文庫)、「親は子に何を教えるべきか」(PHP文庫)、「家庭という学校の先生」(三修社)、その他多数あります。これらのご著書は先生の幅広い学識に、お茶の水の付属幼稚園長としてのご経験が加わり、私達にもたいへんわかりやすく、有益なものとなっています。

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